この年のトピックは、何と言っても関東エリアへの出店です。千葉市の鎌取に、関東第一号店を出店しました。前年の姪浜や福津出店に続き、2014年も田島店、福重店、名島店を出し、福岡エリアでのドミナント出店は、これでほぼ完了だと考えました。もちろん、福岡県内だけで20〜30店を展開している同業会社もあるのですが、私は「地域の薬局」から「全国に薬を届ける薬局」への成長を目指したいと考えるようになりました。

 

在宅に関して、いずれ福岡の市場は頭打ちとなることが明らかで、さらにプラスして、日本の首都圏エリアで一番にならなくてはダメだと考えるようになったのです。もちろん、取引金融機関などからも「熊本など近県ではなく、なぜ一気に関東に?」と訝しがられましたが、これからの市場動向を考えても、やはり在宅中心の薬局が増えるのは関東なのです。弊社東さんと槌田部長の2名が、当初は在宅患者10人からスタートし、現在は数百名分の処方せんを受けるまでに伸ばしてくれています。

 

ちなみに田島店は、製薬メーカー時代の上司の紹介がきっかけで出店できたもので、この上司には当社が1〜2店舗でバタバタやっていた時期にも、日曜日に手伝いに来て下さったりと、ずいぶんお世話になりました。創業時にも、私は前職の上司に色々と助けてもらっていますから、「人との縁」とは大事なものだと改めて感じます。

 

一方、名島店の方は、名島地区にある某老人ホームの、特養100人分くらいの処方せんの受付があったので、ほぼその施設のためだけに出店したものでしたが、1年足らずで「自社で薬局をやるようにしたので、もう要らない」と一方的に契約を打ち切られてしまいました。その時は、「数千万円規模の投資で出店したのに!」と、かなり感情的になりましたが、名島店を出していたからこそ、2018年7月、福岡市の医療特区(志賀島)における日本初の遠隔服薬指導が実現できたのですから、これもまぁ、「縁」と言えば縁なのでしょう。