第16期(FY2023)は上場して初めて迎えた1年間となりました。

私自身も振り返ってみると様々な分野で変化をしていく事の重要性を感じています。

在宅訪問薬局事業、きらりプライム事業においては、取り巻く環境がさらに厳しくなってきたと痛感した1年でもありました。

薬価改定は毎年となり、またジェネリック医薬品の供給問題も深刻化しています。大手チェーン薬局も減益になるなど調剤薬局の経営は難しさを増しています。

当社は結果的に長年在宅訪問に取り組んできた甲斐もあり、在宅訪問薬局事業・きらりプライム事業は共に伸張を遂げました。しかし油断はできません。

 

16期の大きな出来事としては2023年1月に高齢者向け介護施設“プライマリケアホームひゅうが”の1棟目となる「プライマリケアホームひゅうが春日ちくし台」を開設し、新規事業開始となった期でもありました。

この事業はそれなりの準備期間と人的投資もしてきました。この事業を通じて、我々の中で実現したかった構想がまた一つ形になったことは、17期(FY2024)のスローガン「HYUGAだからできる」という思いがより一層強くなったと今感じています。

この“プライマリケアホームひゅうが”は医療依存度と介護度の高い方が安心して生活できるサービスとなっています。
これからの日本は、要介護3以上の方の人口が急激に増えると予測されますが、慢性期病床数は縮減されるため、それに代わる療養先が必要とされます。

従来の高齢者向け介護施設において、医療依存度・介護度がどちらも高い方を受け入れる施設はそれほど多くはありません。あるにはありますが、入居者の費用面での課題や施設従業員の重労働・低賃金の課題そして施設運営面での採算性の課題を抱えるところがほとんどです。
また近年の建築コストの高騰により、現在介護施設を建築するのは採算的に非常に難しくなっています。

しかしその状況の中でも今まで薬局で培った介護施設の運営方法や在宅医との連携のノウハウや自社ICT機器を介護に活用する事により満足度の高い医療介護サービスを受けつつも低料金で療養・生活を続けられるという入居者のニーズに応えながら、施設側も安定して運営できる体制を確立することは、地域包括ケアシステムを構築していく上で大きな意義を持つと考えています。
それには理由があります。私は創業当時から現場の薬剤師として多くの高齢者の家に薬を届けていました。その時にみた光景は本当に凄惨な状態の介護も中にはありました。


例を挙げると
・老老介護で掃除すら上手く出来ずに家はごみ屋敷になっている家
・親の介護を巡って兄弟喧嘩をしている家庭
・親子で介護に必要な金銭の問題で喧嘩が絶えない家庭


特に要介護が高くなってくると、自宅で最期までというのは家族に大きな負担がかかってしまうのでかなり難しいと考えています。昔は大家族で住んでいてみんなで一人の高齢者介護する事はかろうじて可能でしたが、今は時代が違います。一人暮らしの高齢者や高齢者夫婦で暮らす世帯が大幅に増えています。

今回私たちが提案するサービスのプライマリケアホームひゅうがは、そのような高齢者の方の自宅として、また病院としての両方の機能を果たし、介護で苦しむ方々を救う事ができます。
また会社として考えても薬局関連事業主体でやっていた会社がもう一つ新しい事業の柱を創るということです。意識や制度を含めた多くを変えなければなりません。
変わる障害となる大きなものは人の意識です。会社は人で構成されています。
人は今までやってきた事を繰り返して行うというような習性がどうしてもありますから、それは簡単ではない事を過去の経験上身に染みて感じています。
ですから私からも「変わる」という事を何度も会社として発信し続け、時には私自身も率先して新規事業に関わり、何より私自身も意識を変えなければなりません。

 

当社のクレドにも「常識にとらわれず日々革新する。変化を楽しむ。」とあります。
このままでいいのかどうか?を常に自問自答し「変化」が最適と判断した場合には既存事業とのバランスをみて新しいサービスを立ち上げていく。
その過程では様々なひずみや資源不足が発生したりしますが、それを乗り越える事が会社を強くします。今回でいうと、このプライマリケアホーム事業を軌道に乗せていく事で、本当の意味でのプライマリに変化していく事で「24時間365日自宅で安心して療養できる社会インフラを創る」に近づいていきます。
これを実現するにあたり、重要な事は資金や人手の不足ではありません。繰り返しになりますが、会社・社員の意識を変えていく事だと考えています。
これまでは会社内外の様々な事が薬局関連事業で主に構成されていました。
今こそ真の意味で、プライマリケア仕様にモデルチェンジが必要な局面であるということを我々が理解し実行しなければなりません。

私は今後プライマリケアホームひゅうがのサービスがHYUGAの中心的なハブの一つになると確信しています。

 

「HYUGAだからできる。」言い換えれば「HYUGAにしかできない。」と確信しています。