第18期を振返ると、様々な事件と困難とそれに伴う組織としての問い直しでした。
2023年に特に東日本在宅訪問薬局部門で相次いだ問題などの事件があった余波が残り、その立て直しに奔走しました。
プライマリケアホーム部門も、入居が増える中で様々な問題が発生しました。
さらに、業界全体としても厳しい出来事がありました。訪問看護の不正請求が発覚し、業界全体に対する社会的信頼が揺らぐ事態となりました。私たちはその当事者ではありませんが、同じ在宅医療を担う者として、その出来事から学び、自分たちの足元を見直す機会とすべきだと考えています。制度と現場のギャップ、そして信頼される組織とは何かを、改めて真剣に考える一年でした。
良いことで言うと、リージョンプライムの1棟目が決まったのは会社として歴史的な出来事でした。反面、それを広めていく責任も感じているところです。

 

業績的にいえば結果はある程度残すことができました。
売上高は社会への影響力の指標です。
24時間365日の医療介護体制ができることは、社会への影響力だけでなく、純粋に素晴らしいことだと思います。ずっと増収増益を重ね、着実に会社が大きくなっている。従業員を始め、支えてくれる皆さんのおかげで達成できている。その凄さもさることながら世の中から支持されている証拠だと感じています。

 

会社の成長には、必ず組織の進化が伴います。私は“トップが現場の細かい指示は出さなくても動く組織”の構築が必要だと考えます。そのためには多店舗化と共に制度作りや組織化、権限移譲を進めていくことが重要です。

 

こうした動きを支えているのが、目的(理念)です。私たちが掲げる『24時間365日自宅で安心して療養できる社会インフラを創る』という言葉は、判断に迷ったときに立ち戻る拠り所でもあります。理念は単なるスローガンではなく、すべての業務や会話の中に息づくものであってこそ意味を持ちます。

 

社長として考える一番大事なことは理念の達成です。
理念経営をさらに浸透させるために、私自身も意識して現場の声に耳を傾け、理念に基づく意思決定の大切さを伝えてきました。社員一人ひとりが、自らの役割を理解し、“なぜこの仕事をしているのか”を言語化できるようになることが、これからの成長には欠かせません。
私たちは在宅医療介護の社会インフラを創るのを目的としています。その目的とずれてしまった時は軌道修正しなければならない。それはたとえ多額の利益が出ていたとしても。自分の考える理念や方向性と違うと感じた時は今までも口出ししたし、これからもそうすると思います。

 

私は常に「道徳」と「経済」のバランスの大事さを痛感しています。
この会社の風土として理念をずっと謳っている道徳の部分がある限り、利益追求がやり過ぎないようにと抑えられている。かと言って利益を出さねばサービス継続ができない。そうやって自ずと会社の方向性は軌道修正されていっています。

 

誰しも自分1人じゃ本当に何もできない。
HYUGAでも医療介護の現場に立っている方、請求の計算をしてくれている方、経理処理してくれている方、社長室だって理念を伝えてくれているおかげで、今この組織が成り立っているのは紛れもない事実です。そこには感謝もあるし、そのまた奥にその彼らを支える家族もいます。私は出張も会食も多いけど、奥さんがずっと子供を見てくれるおかげで、それが出来ている。本当に大事なものに気づかず、失いかけ、失って初めて気づくのが人間の常です。


大事なもの、、、
それは我々の周りで関わっている方々であり、その中心は社員の方々と患者(利用者)さんです。社員の方が給与をもらって患者さんの為にサービスを提供するとはいえ、自分の大事な人生の時間を割いて会社に来てくれていること、この会社に存在してくれていること、、、それだけでありがたいと感じています。本当に。

 

創業時から今まですっと、日々様々なことがあり、このままでいいのかという葛藤も常にあります。

しかしそれは会社の本当の意義を深く考えるきっかけにも繋がっています。現在の事業を私は恩着せがましく「社会的弱者を支援する事業を営んでいる」なんて言いたくない。支援する過程で我々も元気をもらうし、多くの気づきを頂きます。それは何より病気や介護の中、毎日を懸命に生きているという事です。
家族も健康、自分自身も健康で働けている事、それだけでありがたい。
「あたりまえ」のようで、「あたりまえ」が永遠に確約されてない事に気づき、「あたりまえ」に感謝し、自分が努力出来る事、自分に関わる人の為に頑張れる事は何かを考えたい。
私はこれからも会社を大きくし、在宅医療介護というライフラインを全国に構築していくことをあらためて心に誓います。