2021年12月20日、HYUGA PRIMARY CAREは東証マザーズに上場いたしました。私自身、株式上場は「理念」を達成する為の通過点であり、発射台であると考えています。
私たちの企業理念は、「患者さん、利用者さんが24時間365日、自宅で安心して療養できる社会インフラを創る」です。会社としての規模や業容がどのように変化しようとも、基本的な理念は今後も変わることはありません。「地域包括ケアのプラットフォーマー」を目指す意識にもブレはありません。
これからも私たちが患者・利用者さんの基本的な医療・介護・住まいの相談に乗る身近な窓口となり、水道・電気・ガスのような社会インフラと同様に、いつでもどこでも在宅医療や介護サービスを受けることができ、安心して住み慣れた環境で過ごすことができる社会をこれから創り上げていきたいと考えています。

 

上場を本格的に意識しはじめてからマザーズ上場するまで6年間くらいは準備に要しました。具体的な上場準備となると、会社の中での様々な分野でのバージョンUPが急速に必要となります。「業績」を伸ばし続けるのは勿論ですが、それ以外にも「予実の精度」「関連当事者取引の解消」「月次決算の早期化」「棚卸の精度、頻度」「労務管理」「Ⅰの部作成」「IR準備」などです。例えると「株式上場」という社会の公器になる為の試験を主幹事証券会社、監査法人、東証から約2年間ひっきりなしに行われるという感じです。上場準備中に社内ではこんなに負荷がかかる上場やめたらどうだという意見が社内の大半を占め、部門間同士、店舗の行き違いなども多発し社内の雰囲気は一時的にかなり悪くなり、退職者が多数でるというような事態にも陥りました。とあるベンチャーキャピタルの方に聞くと、多くの経営者はこのような状況の中で、こんな事なら「株式上場」自体を止めようと準備中から離脱していく会社さんが殆どだと聞いています。
今振り返ると株式上場で得られるメリットは一般的に知名度向上、資金調達などが挙げられる事が多いですが、私個人的には上場準備時点から見ればこんな事できるワケないと思えるような難題の一つ一つを一緒にもがき苦しんだ仲間とクリアしていった時間そのものが自分自身の人生にとって宝物であり、この事が最大のメリットだと思います。

 

 

話は変わりますが、新しい試みとして仕事に対する「考え方」の浸透を重視し研修会等を含め全社員に伝え始めた一年でした。
かつて世界一の自動車メーカーだったGM(ゼネラルモーターズ)や、日本最大の航空会社であるJALですら、社員1人ひとりの「考え方の勘違い」が主因となり、倒産による大規模リストラや事業所閉鎖の憂き目を経験しています。
会社に雇用されていると、「時間通り仕事をこなせば給料はもらえる」「同じ作業を行えば年々給与が上がる」という意識を持ちがちですが、それは錯覚であり勘違いに過ぎません。会社が支払う給料は、自分たちの生み出す「付加価値」から生まれるもの…という根本的なことを忘れ、会社の経営状態を“他人ごと”と考える社員が増え続けた結果、GMやJALのような大企業ですら倒産に至るのです。これは国も含めた、すべての組織について言えることです。実際に過去25年間は日本人の一人当の実質GDP(付加価値)は増えていません。
わかりやすく言い換えると社会全体でみれば25年間昇給がなかったという事です。
組織は例外なくすべて「自分たちの働きから給与を生み出す」「給与に見合った仕事を実践する」ために必要なのは、「急速な時代の変化に適応しながら、1人ひとりが自身の仕事の付加価値を高めること」です。変化に対応しながら仕事を「進化」させることと言っても良いでしょう。
当社が創業して間もない頃、在宅の患者さんがご自宅の冷蔵庫に、こちらから頼んだわけでは無いのに、「緊急連絡先」のメモの中にきらり薬局の電話番号を書き込んでくれていました。夜間帯にもよく電話をかけて来られる方ではありましたが、それを見た時いつでも連絡できる「安心感」を自分たちが提供できているのだと感じたのを思い出します。
今後も当社の全事業部がそれぞれサポートし合いながら、1人ひとりが仕事を進化させ「付加価値を高める」ことで、患者さん(利用者さん)やそのご家族に安心感や満足感を提供してまいります。
 

 

最後に部署や職位や社外関係者(プライム加盟店など)で立場が違ってもお互いに認め合い理念に共に進む事が目指すプライマリーケアです。
特に今期はきらりプライム加盟店が、さらに増えると見込んでいます。多くの薬局経営者が、「このままではマズい、しかし何をやれば良いのか判らない」と感じています。プライムの悩みを、私たち自身の成長にも繋げ新しいサービスを構築したいと考えています。