1年を振り返ると色々な面で発展と変化があった17期(FY2023)でした。
特に、当社にとって2棟目となる住宅型有料老人ホーム「プライマリケアホームひゅうが博多麦野」が8月にオープンしたことは、大きなトピックだと考えています。1棟目より60室ほど多い施設ですが、開設約8ヵ月目で、予約も含め約140室が埋まりました。看護師が施設内に24時間・365日常駐する定期巡回・随時対応型訪問介護看護を持ち、介護度・医療依存度が高い方でも受け入れられる体制、そして、介護度が高い方でも比較的安価に入居できる料金設定などが、社会的なニーズにマッチした結果と言えるでしょう。
施設が大型化し、まだ開設1年も経っていないことから、運営上の課題は少なくありません。それを1つずつ着実に解決しながら運営ノウハウを蓄積することが、今期の課題の1つだと考えています。

 

薬局の店舗数が増えたこと、プライマリケアホーム事業で従業員が純増したことなどで、当社の社員数は現在約700名に達しました。ほんの数年前と比較して一気に会社の規模が拡大した分、やはり会社としての一体感を全社員で共有することが難しくなっています。
会社の規模が拡大すれば、全社で“頭のギアチェンジ”をしなければいけません。そのことは私自身も意識していて、研修や教育には力を注いできたつもりなのですが、社員数が増えれば増えるほど、考え方や価値観が異なる人も増えてきます。多様性を受け入れないと、いくら理念の重要性を説いてもそれが腹落ちしない人も出てくるでしょうし、会社としての一体感も醸成できません。「埋めるべき溝」を埋められなかったことは、私の17期(FY2023)における大きな反省点です。

 

あらゆる価値観・多様性に応えていくためには何が必要なのか。
私は、多くの価値観に触れて知る努力をすること、その上で「愛」を持ち人と接することだと考えます。
私自身、今後は現場を見て雰囲気を感じ、より現場スタッフの声を直接聞く機会を増やしていこうと思っています。
また「愛」とは、相手のことをきちんと理解し、仮に、自分とは考え方や価値観が異なっていたとしても、互いに認めようとすることだと思います。「配慮」「気づかい」と言い換えても良いでしょう。淡々と仕事をこなすのではなく、「元気?」「頑張ってるね」とちょっと声をかけ合う。相手がキツそうな表情をしていたら、「その荷物、持とうか?」などと気遣う。そしてこのような何気ないひとことのやり取りを当たり前と思わず、「ありがとう」と感謝の気持ちも伝えたいものです。
これらが、結果的に横のつながりを強め社内の一体感を高めるものだと考えています。

 

さらに一体感を高められるよう、理念浸透を目的に2024年4月「社長室」を新設しました。より私の考えが社員に対して正確に、そして迅速に伝わるよう仕組みから変化させたのです。
「経営理念の浸透」と「横のつながりの強化」は、単なる理想論ではなく、組織運営の根幹をなす部分です。それがなければ700人の社員全体が、1つの目標に向かって走ることは困難です。

 

まずは多様性を認める内容の服務規程変更を実施しました。看護師や介護士、IT部門を担うエンジニア、本社の管理系社員と、育った土壌や文化はバラバラのはず。会社としても、そうした多様性を受け入れられる土壌を作ることが重要だと判断し、薬局向けに作ってきた服務規程を撤廃しました。
例えばこれまで、髪の色やアクセサリーの着用、服装など、細々としたルールがありましたが、清潔であることを大前提とし「自分自身で考えて主体的に判断する」ことにしたのです。
このことは多様性を認めるだけでなく、社員が自身の行動に責任をもってもらうことにも期待しています。

 

会社の規模がどれだけ大きくなっても、会社を作るのは人です。
人と出会う、関わるというのは、何かの縁があってのことです。
今、ここに、存在してくれていることが奇跡であり、そう思うとすべてのことに感謝の気持ちが生まれます。
誰しも、家族に対しては愛を注いでいると思いますが、自身が関わっているあらゆる人を、広い意味での家族として考えていきたい。
私自身もそうですし、会社全体が、相手に対する気づかいを忘れず、温かみのある空気を作れるようにしていきたいと強く思っています。
これからもいろんなことが待ち受けているでしょう。しかしどんなことがあってもHYUGA PRIMARY CAREは「愛」を忘れない会社でありたいと考えています。